midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「これはちゃうか」を読む。

Aマッソ加納氏の短編小説集。漫才/コントみたいな感じの会話劇が多いけど、ちょっとホラー仕立ての大学生の群像劇だったり「駅が自然に生えてくる」みたいな「横浜駅SF」みたいなシュールな作品もあって思ったより幅広い作風だった。

timit.hatenablog.com

ただ、やはり笑いを仕事をしているだけあって、人間同士の細かなコミュニケーションの在り方に関心が深いのかなという印象を受けた。著者本人が使いそうな強めの関西弁も出るし、微妙なニュアンスの会話のキャッチボールを楽しんでる感があるし、ラストが印象的な話が多くオチをつけたいみたいな感じも受けた。

個人的には「宵」という映像を作る大学生たちの群像劇が一番面白かった。個人的にも似たような経験があるので、映像制作の過程で出てくる用語にも馴染みがあるし、ちょっと痛い登場人物たちの心情や生活感の描写がすごくリアルで大学生の感覚がブワッと思い出される。ラストもなかなか思い切った描写となっていて面白かった。