midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「語学の天才まで1億光年」を読む。

各方面からの好評を聞いていて、やっと読んでみた。めちゃくちゃ面白くて一気読みしてしまった。ノンフィクション作家である著者が、世界中を冒険する上で身につけていった現地の言語の学習法や諸言語や文化の比較・分析をまとめたもの。

文体はエッセイ調で軽く、語学に関する勘違いやトラブルなどを笑い話にまとめており普通に楽しい。バブル期に大学生活を過ごした20〜30代の著者の青春譚としても読める。言語に隣接して、歌や音楽の紹介もあって、特にリンガラ語とリンガラ音楽の関係は面白くてすぐ聴いてしまった。リンガラ語は普通に会話してるだけで裏打ちのリズムを刻むのですごく音楽的、という指摘も面白かった。

「言語を学ぶと、それを話している人たちの世界観もこちらの体にも染み込んでくる。」というような体験や感覚もすごく興味深いものだ。極度に外部から隔絶された社会に生きる中国のワ州では、「挨拶」や「友達」といった概念がないみたいな紹介があり、「あー、ピダハン読んだ時も同じような話あったなぁ」と思い出したりした。

 

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後、著者が言う「言語内序列」の概念は常々自分も思っている問題意識でとても共感できた。人間関係において「うまく話せる人の方が優位に立てる」と言うもので、個人が持っている専門性や知識、スキル関係なしに、語学によって序列、もっと言えば差別が起こってしまう。職場だったり日常生活の中で度々遭遇するので、こういうメタ認知は今の社会にすごく必要だと感じる。