midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「アス」を観る。 

アス (字幕版)

アス (字幕版)

  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Prime Video
 

 「ゲット・アウト」が最高に面白かったジョーダン・ピール監督の新作で、ブラックな笑いとホラーっぽい雰囲気で前評判も良かったので観てみた。現代アメリカに暮らす裕福な4人家族が、別荘でチルしている夜に自分たちの分身のようなそっくり人間に襲われる、という物語。

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面白かったけど、「ゲット・アウト」には流石に及ばないかなという感じ。結構笑えるシーンも多く(お父さん役がアホっぽくて最高) 、ルピタ・ニョンゴも頑張って二役を演じてるんだけど、前作みたいな全く無駄のない緻密な脚本と比べると少し冗長に感じる場面だったり回収されない変な場面があったりした。N.W.Aの「Fuck the police」とか何の意味があったんだろう?とか、息子役が手品にこだわるのはなぜ?とか、分身達は特に超能力を持っているわけじゃない生身の人間のようだが、どこから湧いて来たんだろう?とかとか。前作だと、何やら意味深と思えた場面だけでなく、全く伏線と思っていなかった小さなエピソードですらいちいち意味があって、最終的に全てのパズルが隙間なく詰まっていく感じが爽快だったのだけど。

現代のアメリカの人種差別や階級社会を暗喩しているという読みも多かったけど、人種に関わる描写や匂わせるエピソードが出てくる訳でもないし、ちょっとこじつけにも感じられた。本作はたまたま主人公達が黒人だけど、お隣さんの白人家族を主人公にしても成り立つ話だし。

ラストシーンは流石に薄気味悪くてぞくっとする怖さと楽しさはあったが、もう少し分身達の設定に現実感があった方が楽しめたかなぁという感じ。