midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

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「東洋文庫:知への情熱」を読む。

東洋文庫、家から近いし行ってみたいなと思ってたが、長らくリニューアルのため閉鎖してたり、「本自体の背表紙を眺めるような展示なのかな?」と勘違いしていたりして行ってなかったのだが、ものすごく面白い国宝級の資料をたくさん保管しているということを知って興味を持ち直し、ムックを見つけたのでとりあえず読んでみた。めっちゃ面白い。

東洋文庫の成り立ち、代表的な資料、その資料を使う研究者、資料の保管や修繕など日々の運営、広報の方による企画展など様々な角度で東洋文庫について解説していてどれも惹かれる。特に、学術書ではなく大きなムックなので資料の写真がとても大きく綺麗で、世界史で学んだ「名前は知ってるけど実物の形を知らない」資料がたくさん紹介されていて面白い。古今東西の世界地図とか、マルコ・ポーロの「東方見聞録」とか、「御成敗式目」とか、「徒然草」とかキリがない。そして、それらの知を保護し、次世代につなげるために日々研究し、地道に資料の補修をしたり保管をしている人たちに尊敬が止まらない。資料によっては開くだけで壊れてしまうものがあるので、デジタルアーカイブ用に写真を撮った後は原則触れることを禁止しているものもあるそうだ。

高校生の頃から世界史が得意で、今でも「コテンラジオ」とか歴史を学び直したりすることが好きだけど、個人的に人間の営みを記録する作業が地味に見えて適性があるのかなと改めて思ったりもした。AIとかライフサイエンスみたいな流行ってそうな分野だと多額の費用がついて研究が進みやすいが、過去の資料から読み解く史学の分野だとなかなか研究が進みづらいと思う。こういう人たちをサポートできる活動をしていければなと思う今日この頃。

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「高木りゅうぞう作品集」を読む。

全く予備知識なく、図書館で見かけてなんか雰囲気が好みだったので借りて読んでみた。著者はかなり若くして亡くなってしまったようだが、なんとなく望月峯太郎とか古谷実みたいな漫画家になってそうな雰囲気がある。絵や演出はかなり荒削りで上手いとは言えないんだけど、音楽やファッションや映画みたいなサブカルに詳しくてお洒落。若者の日常って感じの話やSFっぽい話など色々あるけど、ベタベタした湿度のないさらっとした物語集という感じで、なかなか楽しめた。

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「エロイーズ」を読む。

さっぱりした短編で面白かった。記憶をなくした20代の女性が自分の部屋や持ち物、職場の同僚や家族との関係、SNSなどインターネット上のログを元にして自分を探す、というお話。

主人公の生活がリアルな独身女性で良い。表情豊かで、服装も自然体で、読者が応援したくなるキャラクターとなっている。飼ってる猫も「魔女の宅急便」のジジみたいでとても可愛い。現代的なB.Dらしくコマ割りは結構複雑・緩急あるんだけど、画面の色合いとか見せ方がうまくて読みやすく、リズム感も面白い。

物語のラスト、どうなるんだろう?と思って読み続けたけど、なるほどそういう締めくくり方があるかと思って感心した。前向きで読後感も良かった。

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「フロム・ヘル」を読む。

映画にもなったアメコミの超大作で、ウォッチメンも面白かったアラン・ムーアの最高傑作と呼ばれる本作を読んでみた。確かにすごい。巻末の解説ページも分厚く、切り裂きジャック事件について相当な調査・取材をもとに作品を作ったことが伺える。作品の中で扱われる話も、単なるミステリー、クライムサスペンスというジャンルだけでなく、あり得たかもしれない事件の謎解きや可能性を総取りしているというか、事件が起きた1888年から作品執筆当時までにおけるさまざまな容疑者が勢揃いし、何らかに関わりを持たせるような「美味しいとこどり」みたいな内容になっている。

猟奇的な殺人の描写も当時の遺体写真を元に正確に描いているらしく、グロくて読みづらいシーンとか、被害者となった娼婦たちの人間臭い日常生活のシーン、現代のロンドンの描写をカットバック的に差し込んだシーンだったり、ロンドン市内の建築物巡りを延々と続けるような土地勘のある人じゃないと全然ピンと来なさそうな章もあったりするのだが、絵のタッチやテンポ感がそれぞれ違って工夫されており、解説ページによるとマンガ表現のあらゆる可能性を試していたらしく、演出面でも確かに面白かった。

ジョニーデップ主演の映画を観ていないので、映画も観てみようと思う。

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「ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常」を読む。

「サンデーマンガ倶楽部」のpodcastで紹介されていて知った一冊。事前に聞いていた通り、味のある高齢者たちと福祉職員たちの人間臭い日常が楽しめる一冊になっている。基本的にリアルな笑えるエピソードばかりなので変に説教臭い感じがなく気軽に楽しめる。

特に良かったのが、「サンデーマンガ倶楽部」の中でも触れられてたけど、空きページに挟まれる高齢者たちの若い頃の写真。頑固爺さんも浮気しまくって家族から絶縁されてる婆さんも昔は結構イケイケでいい感じで、人の歴史を感じさせるのだ。ちゃんと生きれればいずれ自分も必ずジジイになるが、どんなジジイになってるか今から全然想像できない。著者自身のプロフィールも、作中から伺える限りは「昔漫画喫茶でアルバイトしていた」とか「介護かITかで迷って介護を選んだ」とか「多分独身おじさんで、それなりの資産を持ってる」みたいな自分とも共通する要素が多くて、他人事とも思えない距離感なのだ。

逆に気になったのは、なぜ著者の自分像がエルフなのかということ。特に説明もなく現代日本が舞台の日常漫画にエルフがいるので、強いこだわりがあるんだろうけどしっくりはこなかった。ただ、多分他にもいろんな濃いエピソードありそうだし、続刊が出たら読んでみたい。

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「未来のアラブ人」の最終巻を読む。

初めて読んだのが5年前らしいので、大分かかったけど読み終えた。

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読後の感想としては、意外とあっさり終わって拍子抜けした、という感じ。作者であり主人公のリアドは両親と大きな対峙をして成長する、という志賀直哉の「暗夜行路」みたいな展開にはならず、コツコツと勉強し、バンドデシネや映画など作品をきちんと発表して着実に成功していき、ふと気づくと父の期待していた「アラブ人」的な生き方をしてなくて「親父超え」をしてしまってたというリアルなラストだった。

そして、ラストで印象的だったのは、たまたま父にシリアに連れ去られて成長した弟との十数年ぶりの会話シーン。決してシリアでの生活が不満足だったという訳ではなく、きちんと勉強して社会的にも認められる医者という仕事をし、アイデンティティもイラン人寄りである弟と、幼い頃こそフランスとシリアを行き来して成長したものの、大人になってからはアラビア語は話せなくなり、アラブ系の移民からカツアゲにあったりと散々な目に遭いながらフランス人として育った作者がとても対比が効いていて、まんまナルトの「逆だったかもしれねェ‥」。どちらが良い/悪いということはないけど、両親の離婚など、不可抗力でふとしたことで人生って変わるよな。

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「丸ちゃん教授のツミナハナシ」を読む。

研究者がやってるpodcastで面白いものないかなぁと思って見つけた、犯罪学や刑事政策についてざっくばらんに語るという面白い番組。著者である丸山氏の関西弁の軽妙な語り口が面白かったり、テーマごとに参考になるエンタメ作品を紹介してくれていて毎度参考になり、過去に遡って聞いてみている。そしたら、最近になって本になっていたことを知って読んでみた。タイトル通り、研究者向けでなく市民のための犯罪学ということで本当に面白く読めた。

本書で出てくる「レッテルが生む犯罪のしくみ」の章とか読んでていて、大学の頃に社会学の授業で取ったゴフマンのスティグマ論みたいなものだよなぁと思い返したりして、犯罪学って社会学・政治学・法学・経済学などを越境していて面白い。少し前に読んだ「脱法」とか、ちょっと規模が大きすぎるけど「ナルコトピア」とか、犯罪に関する人間の活動を見ると本当に人間臭い面白さを知れて面白い。

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個人的には刑法など法律に疎いので、裁判員制度や死刑制度、少年法などの歴史や運用状況、特にカタギの生活をしてるとしがちな誤解や課題について知れたのが良かった。そして、CAPIC(刑務所作業製品のお店)は今度行ってみたいなと思った。元々、都築響一氏の「刑務所良品」を読んで気になってはいたのだ。

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