midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「DIE WITH ZERO」を読む。

図書館でも予約が続いていた人気本をやっと読めた。著者の意見に全肯定はできないなーと思ったものの、結構刺さるフレーズが多くてためになった。

著者自身がウォール街出身で、政治的・経済的な不安なく暮らせる富裕層に刺さりやすい類の本だとは思うが、本書冒頭に出てくる「アリとキリギリス」のアリ型のような、真面目に普通に働いてる人には明日からの生活や日常の行動を変える力を持つ一冊でもある。アメリカでも、結構な割合で金を貯めたまま亡くなる方は多いらしい。自分の年齢や健康状態やライフステージを吟味しながら、意思を持って積極的に金を使うというマインドじゃないと、リスクを恐れて惰性でなんとなく時間を溶かして金を貯めてしまうだけの人生になってしまうパターンが多いと。働くこと自体は良いこととされてる社会なので、漫然と働いていても咎められることもないし、やりがいや同僚との繋がりもできてメリットずくめので「仕事中毒」になりやすいという。老後で動けなくなる時に備えて貯金を貯めるのは良いことだけど、老後だと生活費や人生を楽しむために必要な金はどうしても減ってしまうので、ある程度「30歳までにヨーロッパ一周旅行をする!」みたいに決めて未来の自分に借金するくらいの勢いで経験を買う方が、後々の人生に複利で効いてくるよという話。

著者が45歳の時に、大金を投じてリゾートのホテルを貸し切り、自分の誕生日に家族や大切な友人を招いて1週間パーティをしたという話がとても良かった。美味いものを食べつつ好きなアーティストを呼んでプライベートなライブをしてもらったり。5年後には両親は健康を害してパーティに呼べる状態でなかったり亡くなってしまった人もいたりだったらしく、タイミングは確かに重要だなと学んだ。

早速自分でもtodo listのやりたいことをいくつか追加登録し、期限も設けた。さらに、本書で紹介されていたFinal Countdownというアプリを入れて、健康に過ごせた場合の年齢まで後どのくらい自由に動いて遊べるかを計算したりした。最近だとロードバイクも新しく買ったし、もっと大きな買い物に慣れていこうと自分のマインドを切り替えつつある。「金のために人生を犠牲にすべきではない」という意識を常に持っていたい。

「kubernetesで実践するPlatform Engineering」を読む。

ざっくり読んだけど、それほど学びがないということが自分にとって安心につながった。今の仕事の環境で本書で出てくるようなPlatform Engineeringはほとんど実践できているので、新しいことを学ぶというより、やっていることとの差異を確認する作業という形で読めた。

やはり、技術関連のキャッチアップはどうしてもAI関連の方が新しい学びは大きい。毎日Claude Code使ってるけど、もっと深掘りして仕組みを知ることと、うまく活用できるようにすることを両方楽しみつつ学んでいきたい。

「魔法少女まどか☆マギカ」を読む。

2010年代のベストアニメ、とかエヴァを超えたSFとか各方面から無茶苦茶評価が高いことは知っていて、ずーっと前からいずれ見てみたい・読んでみたいと思っていた作品。目黒図書館でようやく漫画に出会えて、やっと読んでみた。なるほど、面白いという感じ。

量子力学とか並行宇宙みたいな概念が出てくると聞いていたので超ハードSFのようなイメージだったが、普通に子供が見ても楽しめるようなダークファンタジーとしても楽しめるのが良いなと思った。何かと戦い犠牲になっていく子供たち、という意味だと「ぼくらの」をちょっと思い出させた。あと、会話は出来るけど理解はできない他者として描かれるキュゥべえというキャラは、最近読んだ「三角兄弟」にめっちゃ近いなと思った。

マンガで読むとちょっとバトルシーンで何が起きてるのかよく分からんシーンがあったけど、多分アニメはその辺も迫力満点で描いてるのだろう。ちょっと気が引けるくらい絵柄がいわゆる萌え絵なので積極的に見たいと思えないので、SF的な解説本があれば読みたいなと思ったのだが、意外と検索してもないんだな。アニメ放映当時に座談会みたいなイベントが多数行われていたらしくてそういうのは検索したらヒットするのだが。

「南国トムソーヤ」を読む。

これも面白かった。沖縄、特に波照間島をモデルにしてるっぽい南国を舞台にした民俗学ファンタジーマンガ。3巻というちょうど良い長さで綺麗に島にまつわる歴史や謎とき、少年少女たちの成長物語が綺麗に完結する。

子供の頃に本作で出てくるような島中が顔見知りみたいな環境で、神秘だったり禁足地みたいな文化に触れることなく、郊外で元気に育ったので、自分だったらどう感じるかなぁとか興味深く読めた。著者はかなり丁寧に現地取材をして作品を描いたようで、「観光客相手にやる、小遣い稼ぎみたいなやる気ない商売」とか「台風が来たら何もできないからとりあえず酒盛り」みたいな何気ない生活感溢れる描写が面白く、かつ神秘的な出来事や島内の冒険との対比が効いていて良い。個人的には、同じ著者の「大東京トイボックス」よりストーリーがよく練られてかつリアルな感じで面白かった。

「ぶっせん」を読む。

面白いけど、変なマンガだった。仏教専門学校という特殊な舞台で起こる荒唐無稽なドタバタ学園コメディという感じだが、結構しっかりした仏教用語とか文化・風俗について押さえていて結構骨太な感じでもある。それでいて全然崇高な感じとか説教臭さがなく、終始ノリが軽い。癖だらけの生徒や先生、それを取り巻く女性たちとの関係のエピソードとかは稲中っぽい。

そして、著者の最初の連載とは思えないくらいマンガが妙に上手い。構成・演出・絵・ギャグなどが手慣れていて結構な中堅売れっ子漫画家みたいな感じがあるけど、脱サラして急に漫画家になった人とは思えない。面白いを通り越して、読んでてすごいな、と何回も唸った。

「Obsidianで"育てる"最強ノート術」を読む。

Evernoteを長年使ってるけど、ここ2年くらいは完全にオワコン化して、コストは高くなるし使いづらくなるしでずっと引越し先を検討してるんだけど、10年近く使ってるのでなんとなく他を探すことすら面倒で惰性で仕方なく使っている状態だった。とりあえず、Notionとかscrapboxとかを検討してたんだけど、研究者は結構Obsidianを使ってるらしい、という噂を聞いて、自分のノートやメモの管理を今後どうしていくか考えを整理したいなと思ってこの本を読んでみた。まぁ、なるほどねという感じ。

タスク管理、リンク、データベース管理やグラフによる可視化とか一通り出来て意外性はなかったんだけど、今すぐ移行したいかというとそれほどでも…という感じもしてしまった。今のEvernoteの使い方は作業メモを書いたりwebページのクリッピングをして、タグ付けしながら自分のやったことを整理したりするということなんだけど、それだけなら引っ越すまでもないよなとなる。特に、EvernoteのMCPサーバを用意してからはClaudeからでも色々アクセスできるのでEvernote自体をDBとして色々調べ物や確認ができるようになって、個別のツール最適化っていう時代じゃないのかもなと改めて思ったりした。

「中国TikTok民俗学」を読む。

「ゆる民俗学ラジオ」で紹介されていて面白そうなので読んでみた。実際、爆笑しながら読んだ。オシャレさ高尚さだったり、犯罪やダークツーリズム的なものとは一切無縁で、中国で生活する人々のあまりにも人間臭い様子を突撃取材したルポ。テレビの「月曜から夜ふかし」を観ているような感じで、真面目で普通に生きてる変な人にインタビューし、数珠繋ぎで「珍神」を追っていく。

「ゆる民俗学ラジオ」でも言われていた通り、著者の情けない様子を面白おかしく記述してあるので読み物として面白い。取材をしていく中でノーヘルで爆走するバイクタクシーに乗ったり、出会った人にめちゃくちゃ怒られたり、はずみで鶏の生き血を飲まされたりと「水曜どうでしょう」を観ているようなアクシデントがどれも笑える。取材者に対しても文中で失礼なあだ名をつけて呼んだり、宗教儀式でやらせを提案してみたりと人間のコミュニケーションから生まれる民俗学という感じで良い。

それにしても、挿入される写真はどれもギラギラした極彩色、猥雑な土産物屋やシャーマンの儀式など、本当に中国の人々はパワフルだなと思う。コスパやタイパみたいなものを気にしまくってるミニマリストみたいなシュッとした生き方をしてる人からしたら無駄の極地なんだろうけど、こういう生き方の方が自分的にもしっくりくるよなぁと思う。