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 「東京ラーメン系譜学」を読む。

東京ラーメン系譜学

東京ラーメン系譜学

  • 作者:刈部 山本
  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 まず、2019年に刊行されたとは思えないほどダサくてびっくり。著者自身、2000年前位の大雑把で土着的なラーメンが好きなんだろうな思って読んだけど、全く期待を裏切らずに拍子抜けした。装丁、公正全てがめっちゃダサく、情報量も薄い。例えて言えば、食べログの「小生さん」の長ったらしい自分語りブログを読む感じ。ラーメン文化の背景を掘り下げようという著者の願いには賛同するが、本書はあまりに稚拙で資料的価値が乏しく、何よりダサいレイアウトになってしまっている。

街中華的な文化に対して起源や系譜学をまとめるのが難しいことは分かるが、著者は正確性を重視しない。全ページに渡って、「調理工程や材料を試行錯誤して生み出した結晶のようなラーメンを否定し、客の要望に応じて作ったたまたま出来た濃厚なスープを良しとする、軸にした人情のつまったラーメン」こそが最高という考え方で、本書に出てくるインタビュイーたちも概ねその口である。

創業者たちは総じて味に対する探求心が薄い。あるのはどちらかというと成り上がり精神で、インタビューの内容もつまらなく感じる場面が多かった。男尊女卑や国籍差別が当たり前で、労働基準法などの法律を軽んじる。ラーメンビジネスに手を出すときには、こういう人たちとは仕事したくないなぁと感じた。