midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「人類と病」を読む。

昨今のコロナ対応について色んな情報が錯そうしており、何が正しくて何が正しくないのか、自分の身を守るためにどのように行動すれば良いのかを色々模索していて、病について体系的な知識をつけたいと思って読んでみた。

人類は常に未知の病に立ち向かい、少しずつワクチンという対抗手段や赤十字、WHOなどの人類の健康の底上げを目標とする機関が生まれていき、その時々の国ごとの政治情勢を色濃く反映しながら病を乗り越えてきた歴史を知れた。現代でも勿論それは変わらず、WHOの対応を巡っても中国とアメリカの対立が激しさを増している現状だが、著者の「完全に公正で平等な施策などありえないのだから、これまでと同様に政治情勢をうまく利用して、資金力や発言力の強い国や機関が先導して病と立ち向かっていくべき」という主張には説得力があった。

現代でもアフリカの一部でしか感染が広がっていない病よりもアメリカや西洋で広がる病に多くの資金が集まっている状況はあり、医療をめぐる格差も深刻だという。全然聞いたことのない病名も多かった。薬にしても一度で効果のある薬よりも持続的に使わないと効果がない薬の方が製薬会社としては売上が見込めるので後者の研究開発に傾きがちであるとか、資本主義社会のプレイヤーとしてなかなか変えづらい状況はある。そういうところに政府やNGOのようなプレイヤーが機能して欲しいと願うばかり。