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webエンジニアのメモ

「資本主義と自由」を読む。

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

 

フリードマン、やっと読んでみた。
最初に政府にゆだねるべきでない仕事を定義して、なるべく自由な社会を作っていこうと呼びかける内容。もう50年以上前の講義をまとめたものだが、全然古びておらず今でも変わらず政府にゆだねるべきでない仕事を、アメリカであろうと日本であろうとかなりの部分で政府がやっている現状は変わらない。
良いことをする権力は、悪いことをする権力にもなり得る。やっぱこれは確かだと思う。

今回もグッときたフレーズのメモ。
アーミッシュは国の強制的な年金制度は自分たちの自由を侵害するものとみなした。
 →施しのように見えても、自由侵害に変わりはない。
ハイエク「隷従への道」
・政治的に言えば、市場は比例代表制である。自分が欲しいネクタイの色を買えばいいし、多数派の好みに従う必要はない。
 →死票のような概念はない。好きなものを選べばいいと。
・資本主義社会では、堂々と社会主義を主張して運動を組織しても良いし、実際に権力や金があれば転覆させることが出来る。が、社会主義社会では権力も資金力も一手に握る政府が政府の転覆でもある資本主義に権力や資金力を注入することができない。
 →テロや革命でも起こさないと、腐敗しても政府を転覆させられない。
・政治的意見や皮膚の色など、生産性と関係ない理由によって差別する企業は市場から淘汰されやすい。パンを買う人は、作った人が黒人か白人かよりもうまいパンを求める。
 →至言のように思えるけど、差別主義者ってマジで経済合理性よりも差別的な感情を優先させるからなぁ。ソースは自分の親だけど。
・多数決は絶対の法則ではなく、あくまで便利的な手段に過ぎない。
 →多数決の欠陥にきちんと言及されてて安心した。
・経済活動に置いて、政府やプレイヤーでなくルール作りや、係争を仲裁する役割に徹するべきである。具体的には、独占や外部効果に対するルールを制定すること。
 →河野外相もまんま同じことを主張してたね。
・公園の効果は外部効果として政府が介入しやすい。
 →まぁ確かに。個人で公園作っても庭になっちゃうしな。
・自由は、責任ある個人だけが要求できるものである。狂人や子供の自由に正当性はない。
 →この辺りの理屈が自分の中でまだ消化できてない。どこで線引き出来るか?
・子供は消費財であると同時に、未来の社会の責任ある構成員である。
 →新しい感覚。確かに子供って小さい頃は可愛がるペット的な要素があるけど、将来の社会構成員でもあるよな。
・自由市場においては、徴兵は志願兵を募って雇う方式が望ましい。
 →全くその通り。行きたい人が行けば良い。国のために命を投げ出すことを推奨するような国家は糞くらえ。
大恐慌の爪痕は、政府が介入したことによるものが大きい。
 →細かいデータはなくてちょっと納得しづらい部分もあるけど、おせっかいな介入をしなければ大恐慌はもっとうまくたてなおったと。
・金融政策として金本位制を使うことは誤りである。
・通貨は中央銀行に任せておくには重大過ぎる。
・不均衡が発生すること自体を解決する。国際収支の不均衡は存在しても構わない。
・財政政策と金融政策を分けて考える。100㌦札を刷って100ドルの国債を買えば、通貨供給量は100ドル増える。
ケインズの「投資の限界効率の利子弾力性がゼロである」
・教育への政府の介入は次の二つの根拠から正当化出来る。外部効果があること。子供への温情的配慮。
・また、学校教育と教育は違う。職業訓練補助金を出すことは正当ではない。
政府に金を出させると、口も手も出してくるからだ。だから、教育バウチャーという形がいいのではないか。
・個人の職業訓練に融資するのは、貸し倒れの危険が大きく利子と元本の回収コストがかさむ。株式を発行して、個人の将来所得の持ち分を買い、出世払いのように一定比率を返済してもらう仕組みの導入。投資相手を複数人組み合わせれば、リスクを分散させ投資資金を回収でき、商品化も可能ではないか。
・自分自身への投資コストは自分で負担すべき。見返りを得るのが自分なのだ。
・公正雇用慣行法は絶対に不味い。ヒトラーニュルンベルク法と変わらない、差別政策である。
・発明や著作物には著作権を認めないと、パクったもの勝ちで誰も発明する気がなくなり、社会に悪影響である。
法人税はなくすべき
 →ちょっと納得しづらい。
・職業に関する免許制の悪影響。潜在的に医師になりたいのになれない人がおり、自分の受けたいサービスが提供されず医療を奪われている市民がいる。本当に免許制によって医療の質は担保されているのだろうか。医療デパートのような医療形態を作って、必要なサービスを消費者が購入できるようになれば良いのでは?
・公共計画は、意志決定に利益を受ける一部の集団の影響力が大きくなりすぎるので良くない。
・子供の教育の効果として、誰が得をしたかを調べ上げて教育費を請求するという訳にいかないので、外部効果が存在する。