midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「マンガ脚本概論」を読む。

著者自身が大学の教授として培った漫画を描く上での脚本術について、小説や映画など他ジャンルでのいろんな先行作品を参考にしつつ、著者自身の作品(書き下ろしを含む)を教材としてまとめた快作。

漫画でプロになろうという人や大学で学ぶ人向けと思っていたが、思ったより優し目な内容だった。本作を通じて学生に対する否定的なコメントやアドバイスはないし、教える側としてきちんと自作を素材として「良い作品」と「悪い作品」を解説するのが素晴らしい。例えば、大人視点では単なる日常である、「店で買いたいものを買う」という物語が「はじめてのお使い」の小さな子供にとってどれほど非日常的な冒険になるかという指摘などは面白かった。

かように、マンガで物語を語る上での視点や演出など、「色んなパターンを提示することで」違いを味わい、マンガならではのコマ割りや吹き出しを使った表現の面白さを提案しているように思う。マンガを読み続けてきた身としては映画や小説よりももしかしたら強い訴求力を持って「ルックバック」のように自分の生き方に影響を及ぼしている気もするので、引き続き「マンガは何を語れるか」は研究しようと思う。