midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

石ノ森章太郎のマンガ家入門」を読む。

数年前に「トキワ荘物語」を読んだが、当時の漫画家集団の中で、やや若輩者でもある石ノ森氏の振り返りがすごく良くて印象深かったことを覚えている。

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「トキワ荘物語」1 | 石森プロ公式ホームページ

本書はその石ノ森氏が創作論について、80年代後半の後継のクリエイターに対して語り尽くした名著。自作の解説だったり読者からの創作に関するアンケートに解説する形式となっている。

漫画という表現の中でジャンルの細分化が進んでいく中である意味、手塚治虫ばりに「漫画表現の中で何ができるか」ということを模索し、かつ商業的に雑誌連載の中で実験してきた人なんだなということを改め知った。自分の先輩作家たちの偉業も合わせて紹介しているのもえらい。

著者自身の作品を使って、どういう道具を使っているか、キャラクターの作り方やストーリー作りにはじまり、4コマ漫画の構成を磨くことであったり、ギャグやストーリー漫画の中での構成・演出・作画まで色んなレベルで「物語に引き込むための」技術を解説している。

他には、「音が出る漫画」とかより複合的な表現についても予言的に書いてあるのが面白かった。今だとネットで表現可能な「縦読み漫画」が漫画の形式としては新しくてそこそこ確立してきたような気がするけど、今後の漫画がどのように変わっていくかについても考えていたんだなと感慨深い。

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