midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「理想の父にはなれないけれど」を読む。

じゃんぽ〜る西氏の新作。次男の育児エッセイとなっており、面白かった。本作では日本とフランスの異文化要素というのは薄く、全力で生きる子供を冷静に見守りつつ育てていく様を描いた作品となっている。

後書きで著者自身が触れているように、本作は全編がカラーとなっており、画力の高さも相まってすごくリアルかつ可愛いバンドデシネっぽい要素と日本のmanga的なデフォルメが混じり合ったエッセイになっている。ただの可愛い天使、というような対象ではなく、動物的な荒々しさを持つ生まれたての赤ちゃんが3歳を迎えるまでの言葉や社会性を獲得して貴重な瞬間を収めており、言い間違いとか変な行動の記録など結構学術的にも貴重な作品な気がする。

となると描かれている子供たちが父の作品をどのように捉えるかは気になってくる。長男はそろそろ思春期に差し掛かるころだろうし、普通に捉えれば自分のかなり恥ずかしい記録が公共の場で商品として売り出されているわけで、グレかねない気もする。もちろん家族や周囲の理解はあるのだろうが、最終的に「本人の許可」は成長しないと取れないので難しい気はする。本作が面白いだけに、子供たちの成長に悪影響がなければ良いなぁと思ったりもする。