midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

益田ミリ作品を3点読む。

結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日 (幻冬舎文庫)

結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日 (幻冬舎文庫)

オトーさんという男 (幻冬舎文庫)

オトーさんという男 (幻冬舎文庫)

([ま]5-1)おとな小学生 (ポプラ文庫)

([ま]5-1)おとな小学生 (ポプラ文庫)

きっかけはcakes。著者の創作秘話を紹介する記事があって、その作風に興味を持って読んでみた。いやいや、面白い。サザエさんばりに単純な描線と単調なお話とかエッセイなのだが、心にグサグサ刺さる。シンプルな絵は何となく「タンタン」的におしゃれに見えなくもない。

紹介した3冊のうち、「結婚しなくていいですか」は「すーちゃんシリーズ」というカフェで働く30代未婚女性の生きる楽しさや苦しさを描いた同じ主人公のシリーズもの。「オトーさんという男」はそのまま著者の父について描いたエッセイマンガ。「おとな小学生」は著者が子供のころに好きだった絵本を現在の著者の視点で読み直し、紹介するというもの。この紹介順は自分の中で面白かった順。3冊とも時数も少なくサクサク読めるが、味わい深くて何回読み直しても楽しめると思う。業田良家の作風にも近いかもしれない。30台に差し掛かろうとする自分の年代と独身という境遇のせいもあるけど、出てくるキャラ全員にどこかしら共感してしまって泣きそうになる。かといって、別にドラマチックで臭い演出や小難しい言葉をキャラに喋らせたりして泣かせにかかっているわけではない。将来のことが毎夜不安になって、貯金額を気にしたり、どうにかして衣食住を確保して人に迷惑かけずに行こうと考えたり、親の介護どうしようとか悩むけど、その日スーパーで買ってきた春キャベツがおいしい、とかヨガに一緒に通う友人と一緒のご飯がおいしい、とか自分の店で出す新しいメニューを自宅で考えてみたりとか、そういうなんでもないすーちゃんの日常が愛おしいし苦しい。遺言でも書くかと思い立つところも俺と一緒だし。