midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「ラッカは静かに虐殺されている」を観る。

ラッカは静かに虐殺されている

ラッカは静かに虐殺されている

  • メディア: Prime Video
 

 自分と同年代の青年たちが、自分の地元ラッカをIS(イスラム国)の暴虐から救うべく奮闘する姿を描いたドキュメンタリー。「ラッカは静かに虐殺されている」は彼らのメディアである。国内に残って地元の惨状を伝えるものも、ヨーロッパに渡って外から発信するものも皆命がけで、彼らのモチベーションに感服する。関わろうとしなければ、国外で別の生活が出来るかもしれないのに、ISにバレないように拠点を移しながら、外で遊ぶこともせずに発信を続けるなんて全く自分には出来ない。メンバーの中には家族を捉えられて銃殺する様を配信されたり、結婚してパートナーがいても夫婦としての生活を送ることが困難であったり、相当の犠牲を強いられているのだ。彼らはもともと普通の大学生だったり教師だったりと政治運動べったりで生きてきた訳では全くなくて、「結婚してぇなー」とつぶやいたり、ドイツで友達同士で雪合戦したりして時折見せる笑顔が自分と感覚変わらないなと思いつつ、その使命感に動かされるという生き方は凄いなと思う。そして、拠点を移した先のドイツでネオナチによる移民排斥のデモを目の当たりしたり、世界のどこにも憎悪を糧にして起こる運動があることをまざまざと見せつけられたりする。ISは全盛期よりは大分弱体化しているようだが、火が完全に消えることもないだろうし、ムスリムであろうとクリスチャンであろうと世界宗教の信者はそれぞれの原理主義的な運動とその他社会との関わりをどう捉えれば良いのか熟考する時代になってきていると思う。このドキュメンタリーも何か「答え」を用意しているわけではないが、考えるきっかけになる作品だとは思う。