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webエンジニアのメモ

 「魂のゆくえ」を観る。

魂のゆくえ ブルーレイ+DVD [Blu-ray]

魂のゆくえ ブルーレイ+DVD [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/10/23
  • メディア: Blu-ray
 

 静かで良い映画だった。NYの小さな教会で牧師を務める中年男が、家族を失ったことや自分の死期が近いことを知ったことと、近所で相談に乗っていたある男が、環境運動による活動の志半ばで死を選んだことをきっかけに、クリスチャンとして自分の命を犠牲にしてでも故人の遺志を継げないかともがき苦しむ姿を選ぶ。主演はイーサン・ホークで、環境活動に身を投じた男の妻をアマンダ・セイフライドが演じる。監督はタクシー・ドライバーの脚本を書いたポール・シュレイダーで、本作を自分のラスト作品と位置付けてるらしい。過剰な演出を排して全体的に静かで、ダルデンヌ兄弟的な感触。

環境運動家の男が自分と同じような問題意識を持っていて物語にすんなり入れた。「今の地球の環境は新しく生まれてくる命に対してあまりに無責任ではないか」と。悪役らしい人間が出てこないのも良い。主人公と結果的に敵対する自分の上司的な牧師や、環境にあまり優しくない地元の有力企業社長にしたって悪辣で醜い人間として描かれているわけではなくて、それぞれの立場で出来ることを模索している感じがあって良い(少なくとも上司的な牧師については)。環境問題に傾倒してきた主人公とのクリスチャンならではの論争は見どころの一つ。環境運動家の男の妻も夫を失った後でも健気で、授かった命とともに前を向いて生きていこうとする姿をアマンダ・セイフライドが好演している。ラストシーンもほっとする終わり方で、美しかった。