midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「all things must pass」を観る。

タワーレコードの栄光盛衰を描いたドキュメンタリー。60年に創業し、50年ほどにわたって音楽の小売り業として世界に進出していった彼らがぶち当たったいくつもの壁に対する乗り越え方のエピソードは、そのまま50年の音楽メディアを巡る移り変わりを見るようで面白い。フォークの7インチシングルからLPが出てきて、ディスコが大ブレイクし、マイケルやプリンスなどのMTVを使ったスーパースターが出てきて、CDが普及し始めてさらに配信やP2P全盛のころの生き残りだったり。個人的にはそもそも音楽をメディアで売ることで稼げていた時代が特殊なだけで、現在のbandcampみたいに投げ銭でファンやタニマチとアーティストが直接繋がって曲やライブを共有するというのが人類と音楽の関わり方だと思っていて音楽の業界としてそこまで悲観的になってはいないんだけど、タワーレコードはでかくなりすぎて小回りが利かなくなってしまったのかなぁと思った。

タワレコは大学1年の頃からお世話になってるが、正直金をあまり落としておらず上客とは言えないんだが、それでも特に池袋パルコ店は10年以上通っており愛着はあるし、雑誌bounceからは10年以上にわたってほぼ欠かさずチェックしており、ここでしった新旧の面白いアーティストは数知れない。在学中にアメリカ本国ではタワレコが倒産したというのは聴いていたが、本作を観て本国の雰囲気を楽しむことが出来た。ちなみに締めとして現存する日本店がフィーチャーされており、元社長ラスが拍手で迎えられるシーンとかは胸アツである。著名人だとエルトン・ジョンデイヴ・グロール(店員だったらしい。ロン毛で雇ってくれるところがタワレコしかなかったとのこと)がインタビューに応えており、家族的で音楽好きの店員に囲まれた素晴らしい店だったと評価している。ちゃんと定時に店番してれば後は飲んでてもドラッグやってても良かった、社長含めパーティーピーポーの集まりだったとか「らしい」エピソードも多くて楽しめる。惜しむらくは、ブラックミュージックにももうちょっと焦点当ててほしかったなぁというか。元従業員たちも白人ばっかりだったので。