midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「VHSテープを巻き戻せ!」を観る。

 VHSテープというメディアが果たしてきた映像文化に対する功績を振り返るドキュメンタリー。インディペンデントな感じが楽しかった。アメリカのビデオショップ店員や映画マニア、アトム・エゴヤンみたいな監督の他、日本からも押井守バクシーシ山下みたいなAV監督も出演している。「Be kind rewind」というパッケージのシールが哀愁を誘う。DVD以降の世代には巻き戻し概念がない。まぁ、このドキュメンタリーをアマゾンプライムで観ることこそ冒涜かもしれんけど。

面白かった点をいくつか整理してみると。

・他規格との戦争というメディア史の中での位置づけ。

ベータとの戦争とかはリアルタイムでは知らないけど、こち亀とかで読んだことがあって知っていた感じ。画質とかはベータの方が良くて高級だったんだけど、最終的に安いVHSが買ったというような位置づけらしい。

・映画産業との接点

1976年にメディアとして発売されたそうだが、最初は見向きもされてなかったが、徐々に金になると気づいて映画をVHSで出すというビジネスが成り立ってきたらしい。VHSテープを売り出すことも普及し、その後やはりというかレンタルビジネスが成長したそうだ。全米に数万の店舗が出来た時代。レンタルあるあるとして、画面にノイズ(横線)が入ると、2秒後にオッパイから爆発シーンだ、みたいなセリフは笑った。皆が巻き戻して観たためテープが擦り切れてるらしい。
あと、ダビングも容易だったので、違法にダビングして大儲けした金を基にソフト会社を立ち上げるみたいなこともやっていたらしい。

・OVAとか自主制作映像をVHSで発売する動き

AVとかスプラッタホラーみたいなB級映画が制作されてVHSオンリーで発売されていった。結構今ではDVD化されているVHS作品や映画も多いけど、まだまだVHSにしかない作品も多く、マニアはフリマとかで1ドル位で売られてるVHSからお宝を探していたりするそうだ。

・レコードというメディアとの比較

やはりこれが今でもレコードを買い続けている人間として気になった。レコード市場は今でも大きくなり続けているし、音質面でCDやサブスクより優れているという側面があるけども、VHSには品質面でメディアのメリットがない。音楽で言うとカセットテープ市場に近いというか。そのメディアにしかない作品の発掘が終わったら割と不要になってしまうかも、と感じた。巻き戻すってのも、面倒だしね。