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webエンジニアのメモ

日本会議の研究」を読む。

日本会議の研究 (扶桑社新書)

日本会議の研究 (扶桑社新書)

なかなか話題になっていた新書。日本会議は今の安倍政権の思想的基盤になってる保守団体、ってイメージが先行してて実態についてよくわからんもんだから変に陰謀論者たちの目の敵にされてる感じだったけど、本書を読んである程度その背景を知ることができた。ちょっと著者の論の運び方がこじつけっぽい感じは随所で受けたけど、きちんと一次資料に当たって調べるという姿勢は徹底しており、なかなか信頼できる読み物になっているとは思う。要は「生長の家」という国粋主義的な新宗教を母体とする60,70年代の学園闘争の頃の右翼学生たちが、左翼が80年代以降拡散していったのと対照的に、草の根的に地道に活動を続け、自分たちの考える国家観を政権に上部工作して浸透させたのが現在で、遂に改憲まで王手、というところまで来たというのが本旨。近年の日本全体が右傾化したというより、ごく一部の民主的でない考えを持った人間が、極めて民主主義的な手続きでその思想を浸透させたという後書きのくだりはちょっと寒気がするけど面白かった。個人的に学生時代に衝撃を受けた小林よしのりのムーブメントとはあまり混ざっていないらしくて意外だった。あと、去年読んだ鈴木邦夫も登場してくる。

日本会議に近しい人からすると「印象操作がひどい」とか「歪曲してる」とかいう批評も見たけど。個人的にも「カルトだから日本会議は良くない」みたいな書き方とか「偏った思想の持主が政権中枢にいていいのか」みたいな問いかけは愚問だと思った。別に極右も極左も民主主義の手続きを踏んで有権者から選ばれるんであれば居ていいと思う。ただ、自民党憲法草案とか見る限り、「家族の大切さ」とか「基本的人権の制限」とか個人の自由を抑制してくる感じが全く受け入れがたい内容なんで反対というだけで。