midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「複製された男」を観る。

難解映画みたいな括りで語られてたのでちょっと気になってみてみた。面白いんだけど、ちょっと小骨が引っ掛かる感じだった。カナダはトロントを舞台に、真面目に生活する大学教授の男がある日ふと観た映画に自分とそっくりのドッペルゲンガーみたいな人間が出演していることに気づき、その男について調べて近づき、実際に会ってみる、というのがネタバレのない筋書。確かにデヴィット・リンチ作品に通じるような意味深なショットの連続と、不安感を煽るような演出の巧みさで物語にのめりこませる力のある映画だとは思う、けどけど。主演はジェイク・ジレンホール。撮影に関して、全体的に明度を抑えた黄色で薄暗い光で撮影された世界(屋内のシーンとかレンブラントの絵みたい)が閉塞感というか息苦しい感じが出てて物語とマッチしててすごく良かった。

ネタバレに関しては解説ブログとか色々あったので参考にしてほしいんだが、前述したリンチの例えば「マルホランド・ドライブ」とかみたいに、ショットの意味を再構築していけばほんと整合性のとれた筋書の説明が可能なミステリーと違って、本作は意味が取れないショットがあるから混乱するんだよな。確かに解説を読んで、「ああ、なるほど」と納得できた部分もあるんだけど、そもそも主人公がもう一人の主人公を「知らなかった」っていう前提が変な気がするんだよね。例えば、もう一人の主人公はバイクが好きで家にもバイク雑誌があるんだけど、もともとの主人公の方は、完全に「理解できない他人の趣味」として雑誌を怪訝な表情で読んでたりするし。これ以上書くとネタバレになっちゃうけど、いまいち納得できない要素が残ってしまった感じ。