midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「ブリグズビー・ベア」を観る。

 めちゃめちゃ前評判が良かったから期待して観たんだけど、そこまでだったかな。物心つく前に誘拐された主人公は、外界との接触を閉ざされていたアラサー男子で、誘拐犯の親がけなげに毎週作っていたSF教育番組「ブリグズビー・ベア」を観ることを生きがいに生きていた。そんな男が親の逮捕をきっかけに外界に出て、大好きな番組の続編を作るというお話。熊の着ぐるみとかポップで可愛らしい雰囲気もあり、低予算ながら結構話題になった作品。

僕らのミライへ逆回転」とか「リトル・ランボーズ」に繋がる、手作りで大好きな映画、世界を創造していく映画なんだけど、それが犯罪者の作っていた世界ということで周囲の軋轢を生むというのが本作のポイント。特に両親や家族からしたら気味が悪くて中々受け入れづらいんだけど、結局、息子を奪った誘拐犯の人格と、彼らが創造した世界は別だよね、という形で昇華してハッピーエンドに繋がっていく。んだけど、ちょっと受け入れられる過程がスムーズ過ぎてリアリティに欠ける気はしたかな。主人公の妹の友達がSFや映像制作に興味を持つナイスガイで、彼をはじめとして早々に理解者が集まって実際の撮影までこぎつけ、ネットにアップした動画がバズる、って実際には結構難しいと思うのだ。

あと、主人公の持っていた信仰的な生活習慣(誘拐犯の親との食事前の所作みたいなやつ)とか、初めて同年代の女性といい感じになった時の性に対する観念だったりがあまりうまいこと着地してるように見えなかったのもちょっと残念。さりげなくでも描写してあげればもっと隔離された環境の人間のリアリティを演出出来たと思うんだけど。