midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「儀式」を観る。

儀式 [DVD]

儀式 [DVD]

大島渚がATGで潤沢な資金を投じて撮り、テオ・アンゲロプロスが熱烈に愛した作品ということでワクワクしながら観たけど、かなり期待外れな出来。冠婚葬祭の儀式の場面以外が一切ないという制約で、戦後の日本の家族を描いた作品。

確かに冠婚葬祭のシーンは厳粛で金がかかっており、絵的には豪華で楽しめる。でも、物語としてはほとんど楽しめなかった。言ってしまえば近親相姦と近親憎悪のミックスのドロドロ映画だ。主人公はとくに物語を大きく動かす原動力たり得ず、次々と起こる一族の死や自分の政略結婚といった儀式に翻弄され、オロオロし、情けなく従妹に慰みを求める。

なんというか、「おくりびと」的な儀式の所作に演出のスポットライトを当てるフェティッシュな作品なのかなーとか思っていただけに、安っぽい牡丹と薔薇みたいなドラマ見せられてがっかりした。あと子役の演技もひどくて、むちゃくちゃ棒読みだし不自然すぎる動きで萎えた。アンゲロプロス、この作品のどこに惹かれたんだろう…。