midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

駆込み女と駆出し男」を観る。

不思議な映画だった。声が小さいとかじゃなく、時代がかった方言や蓮っ葉な言葉づかいやら様々な日本語が飛び交い、ネイティブでも結構聞き取れないセリフ多いんじゃないかと思う。飛行機の中で、英語字幕付きで観たことで意味が補完された気がする。特に、主演の大泉洋のまくしたてるような言葉でガラの悪い男衆を煙にまいて追い出したり、衆目の前で言葉がけによる治療(?)をしてみたり、彼自身の良さが前面に出ていて素晴らしい仕事ぶり。というか、彼じゃなければ映画が成り立たない類の作品だと思う。実在した江戸幕府公認の縁切寺東慶寺をモデルに離縁したくて寺に駆け込んだ様々な事情を持つ女たちと、戯作者(作家)に憧れる医者見習いの男による珍妙な物語。

原作は読んでないのだが、一本線のストーリーはなく、色んな女たちのエピソードの複合体のような形で物語は進む。満島ひかり戸田恵梨香といった主役級に留まらず、樹木希林武田真治堤真一といった周りを取り囲む一癖も二癖もある人物たちの魅力もたっぷり。特に戸田恵梨香大泉洋のやり取りは半ばマンガの仁を見ているようで微笑ましく、また面白かった。学のなかった(というか得る機会のなかった)女性が、医術を少しづつ覚えていくところとかね。

飛行機で見れたから、というのもあるかもしれないけど、国外の人にもお勧めしたいなと思う気もする。満島ひかりのエピソードとかって九鬼修造の「いきの構造」を読むより直感的に「粋」について納得できる気がするし、現代の女性アイドルシーンの醜聞(お泊り会が報じられて髪を落とす禊みたいな儀式とか)を払しょくしてくれるような、日本女性のバイタリティを感じられる作品になってると思う。かといって最近の気持ち悪い日本礼賛な精神は微塵も感じさせず、基本的には笑えるエンターテイメントなのでホントに勧めやすい。もう一度観てみたいくらいの良作。