midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「だれも教えてくれなかった エネルギー問題と気候変動の本当の話」を読む。

エネルギー問題と気候変動についてバンドデシネで分かりやすく学べる本。地球の資源からエネルギーを抽出して、重いものを持ち上げたり高速移動ができるといった肉体ではとても出来ないことが出来るようになった人間が活動することを、パワードスーツを着て生活してるようなもの、と絵的に表現して親しみやすく読める。

決してヒステリックに警鐘を鳴らす訳ではなく、抽象的で科学者的な固さで理詰めに説明するのでもなく、人間の歴史、文化、宗教、政治や国際情勢など人文学も含めた横断的な知識でエネルギー問題について論じている。「2084年報告書」を読んだ時にも感じた個人の自由や民主主義の限界のようなものまできっちりと触れており、今の時代に生きる人間として意識高く、解像度上げて取り組まなきゃいけない問題だよなと改めて感じる。身もふたもない事を言ってしまうと、個人の生活からエネルギーの利用を自主的に制限する「エコな生活」を志向するよりも、強権的な政府が強制的に個人の利用可能なエネルギーの割り当てを制限したり、エネルギーを大量消費する人が減る方がエネルギー問題や気候変動に対して影響が多かったりする。原子力発電だって火力発電に比べてはるかにクリーンな発電であることを本書は説明しているし、一昔前まで自分が持っていた考えをアップデートしていく必要性を感じる一冊。