midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「青い薬」を読む。

スイスのバンドデシネ作家による自伝。彼とパートナーと子供を中心にエイズという病を通して生きることのリアルを綴った切実な作品で痺れた。

どんな病であれ毎日仕事したり食事したりセックスしたりといった生活はある訳で、ふとした瞬間にエイズという病を意識するのがリアルで面白かった。結構不謹慎さすら感じる、「あれ?こんな形で接触して大丈夫だっけ?」みたいな疑問と平凡な生活のギャップだったり、普通のカップルや家族の中で生じる「連れ子に対してどんな風に接してあげたらいいのかな?」みたいな何気ない描写が良い。絵はスケッチ的というか若干雑な感じも受けるが、マンガならではのファンタジックな表現も見られる。

そして結構衝撃的なのが、巻末に出てくる「その後」のお話で、エイズに対する社会の扱い方が全く変わって以降のギャップ。本編でシリアスだった病の話が、なんだかほっとするくらい柔らかく着地していて読後感もよかった。