midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

細野晴臣 録音術」を読む。

面白かった。細野氏のソロ作品を中心に、70年台からゼロ年台くらいまでの主要な仕事をどのような環境で録音してきたか、エンジニアの貴重なインタビューを中心に分析する。アナログからデジタルのような大きな変化も含めて、目まぐるしく変わる機材やレコーディング環境の中でエンジニアごとに理想とする音像があり、細野氏自身もプレイヤーでありながらコンソールをいじるエンジニア要素もあり、試行錯誤しながら、遊ぶように作品が作られていったことが分かる。どこのスタジオでどのようなコンソールを使ったか、曲ごとのトラックシートやクレジットが詳細についているので、普通にアーカイブ資料としても素晴らしい仕事ぶり。

改めて氏の音楽的な冒険、探究心の深さを確認できたし、50年以上にわたって現役の音楽家として活動しているのに素直に驚く。元々はhosono houseとかトロピカル・ダンディ辺りのエキゾチックでびっくり箱みたいなアルバムの雰囲気が好きでたまに聴くことはあったけど、アーティストとしての活動を網羅的に聴くことがなくて色々発見もあった。特に80年台の「S ・F・X」とか「フィルハーモニー」みたいなシンセやリンドラムをバキバキに使ったデジタル録音のアルバムがかなりカッコよくて良かった。