midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた」を読む。

録音に興味持ってこの本も読んでみた。細野晴臣の70~90年代の目まぐるしい機材の変遷があったアルバムを中心に、それぞれのアルバムを担当したエンジニアの証言や、著者自身が集めた資料やレコーディング地のトラックシートなどの情報を基に、どのように作品が作られたかを振り返る。楽曲のクレジットも勿論エンジニアやスタジオの詳細部分まで明記しており、きちんとアーカイブしようという気概が感じられて素晴らしいと思う。

ミュージシャンとしての細野晴臣の作品自体にはそれほど思い入れはなかった。学生時代、「hosono house」はシュガーベイブのような感触があって好きだったけど、その程度。本書に登場するエンジニアも日本を代表するようなスーパーな人達なんだろうけど、全然知らんかった。

豆知識としてメモったのは以下のような点。「フィル・スペクターがゴールドスタースタジオで生み出した「ウォール・オブ・サウンド」(中略)それは、エコー・サウンドを駆使したミキシング処理というよりも、使用していた狭いスタジオの音響特性によって、偶然生まれた産物だったということ。20人近いミュージシャンが一度に演奏したため、本来は拾ってはいけない楽器の音を複数のマイクが拾ってしまった。そのリーケッジ()かぶり音が、エコーにも似た独自の迫力あるサウンドを作った」「スタンウェイはクラシックのピアノなので、どうしても音が甘い」「レコーディング用のリハはまったくしてないと思う。スタジオで曲や音楽を作るのが常識だったから、そのころは。ヘッド・アレンジってみんなが言い始めた時期で、あの石川鷹彦でさえ、譜面書いてこなかったね。(中略)コード譜だけでキメも何も書いてこなかった。「書いちゃってもできねぇだろう」みたいなところもあったかな」「記憶に残ってればいいんですよ、音楽が」「エンジニアには2タイプあって、音を前にして、すぐにイコライザーをいじるタイプと、イコライザーをいじらずマイキングするタイプがありますが」「倍音を使わないと音が「ふくよかさん」にならないの」