midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「同志少女よ、敵を撃て」を読む。

ウクライナ戦争が始まった時にすごく話題になっている印象があった一冊。図書館で予約していてようやく借りれた。ちょっとドラマティックすぎるのでは?という感じはあったがすごく面白く読めた。第二次世界大戦でのドイツとロシアの戦いにスポットを当てて復讐に燃える少女を主人公に描いた物語。実在の人物も多数登場するので歴史の勉強的にも面白い。

戦闘描写が多少長すぎる気もするが、当時の兵器や軍隊をはじめとして文化風俗きちんと資料を調べたであろうリアルさで、迫力も緊迫感もあるので決して退屈せず楽しめた。狙撃手特有の苦悩だったり立ち位置、高揚感や意識が一点集中するような描写もすごく巧み。伏線回収も上手くて、ラストの展開はなるほどなと唸った。タイトルの意味は読み終わった後、主人公セラフィマ同様に自分も何が敵か?を考えさせられた。

一方で、かなりドラマティックなのでちょっと安っぽいというか鼻白らむ感じもあった。過酷な状況だが、主要キャラたちがほとんど個性溢れる若い女性なので、序盤は萌え系のスポ根・学園物語感すらある。すごく映像化しやすい作品だと思うが、戦地を舞台にして彩度低めなリアルなヨーロッパ映画っぽい作りにするよりも、アイドル声優を多数据えてアニメにした方が映えそうな感じ。