midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

侍女の物語」を読む。

ちょっと衝撃的に面白かった。全然ストーリーを知らず、グラフィックノベルだから読んでみるかという適当な理由で手に取ったが、途中で読む手が止まらなくなった。原作の小説も全然知らなかったのだが、ベストセラーだったらしい。今読んでも色々と示唆的な世界観のディストピア小説

正直言って雰囲気が良くてもストーリー性が希薄だったりキャラの強い個性がないグラフィック・ノベルは多くて、どうしても心に残りづらい、後で思い出しづらいという作品があるのだが本作は全く違う。主人公の女性が静かに、出来うる限り自分の目的を果たして生きていこうとする闘いの記録となっていてすごく読み応えがある。読んでいて結構ショッキングだったり辛い描写も多い。設定、世界観も下手したらこんな世界になり得るかも、そして現在もこんな世界観に近い環境で生きている人もいそうという感じでリアル。自由のない抑圧された生活を「他者から嫌なことをされない自由を手に入れたのだ」みたいに無理やり肯定するロジックが出てくるのだが、全体主義的な体制が使いそうなフレーズでゾッとした。他のキャラクターたちもそれぞれ目的があって少しずつ明かされていき、先行きの見えない中で物語を進める力になっている。ラストも謎の残る形で締め括られておりリアルだった。