midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「草 日本軍慰安婦のリビングヒストリー」を読む。

 かなり壮絶で読むのがつらくなる内容だが、日本人として読む価値はあると思った。ただ、やはり現代に生きる一個人として国籍を理由として彼らに対して何か保障する必要があるのかというと断言できないとも感じた。描かれる話は普通の少女が自分の力の及ばない、家族や国家や時代といった大きな力に翻弄されて痛めつけられる様である。彼らのような戦争犯罪の被害者に対して事後的に何か保障をすることなど手遅れだし、金を配ろうが土下座して謝罪しようが、現実的には出来ない。慰安婦として従事させられた時に仕事を強制した日本軍の人間も騙して女性を連れてきた他の国の人間も、国籍に限らずひどいのだが、ナチスドイツのアイヒマンのように彼らもある意味で求められる役割をこなしていた側面もある。

なので結局は国家間で保障を行うしかないのだが、そもそも十分に出来ない保障をどこまで行うかの線引きは結局、公正を期すための国連や他の機関の立会いのもと、国家間の交渉で行うしかない。それが済んだ後の交渉は難しいと思う。国民国家となってからの戦争犯罪は全てこのような痛みを引きずっているように思えた。