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webエンジニアのメモ

 「デヴィッド・リンチ:アートライフ」を観る。

デヴィッド・リンチ:アートライフ [DVD]

デヴィッド・リンチ:アートライフ [DVD]

  • 発売日: 2018/07/04
  • メディア: DVD
 

 生まれてから、世に知られるきっかけとなるカルト作品「イレイザーヘッド」を監督すまでの人生を振り返るという内容。「イレイザーヘッド」は学生の時に観て「良くわからん暗い映画だな」と思った記憶はある。「マルホランド・ドライブ」では緻密な映像表現に度肝を抜かれた覚えのある、というのが自分。本作については、うーんやはり良くわからん人だなぁという感じだった。

もう普通におじいちゃんだが、まだ幼い女の子(孫かと思った)がいることにまず衝撃。結構恋多き人というかバツ3位ついてるのね。第二次世界大戦後の上昇していくアメリカの郊外に生まれ、温厚で誠実な両親に何不自由なく育てられたのに、結果こんなワケのわからん人に育つのかと思うと感慨深い。留学してすぐ引き返してきたり、頑張って受験した美術学校に対して通わなかったり、行動のひとつひとつは全然モラトリアム人間であっちこっちふらふらしてる印象だったが、映画人として歴史に残るであろう作品を作り上げ、これだけ世の中に影響与えられる人になったのだからすごい。

そして、いつまで経ってもずっと手を動かしてものを作っていたい人なのだなと改めて感じた。インタビュー中もずっと自宅のアトリエっぽいところで、客観的には正直ガラクタにしか見えない、完成形も作業工程も分からん絵と彫刻の中間のような作品を作ってるんだけど、すごく一生懸命なのは伝わるのだ。絵や線を描く時も洗練された筆や定規のようなものを使わず、文字通り指に塗料を塗りつけたりして作成してく。それも、何度も修正しながら進めていくので、本人的には一応良し悪しがあるのだなぁと気づく感じ。とにかく夢中になっておじいちゃんなのだ。創作感について語るときも、外出が嫌いでかなり小さな生活範囲や自分の部屋で生きることを愛しているらしく、とことん「自分に向き合って、過去の記憶や内に潜っていってものを作る」タイプなのだなと感じた。その証拠にというか、全く彼の作品から政治性や経済性、社会に対する批判のようなものを感じないし、なるほどなぁと勝手に自分の中で結論出来た感じ。