midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「アート思考」を読む。

何となく現代アートの生態系みたいなものをざっくり把握して読んでみた。ビジネスマン向けのアート解説という感じでマーケティング的には成功してると思うのだが、なんか読んでてつまらなさを感じてしまった。著者自身が藝大の絵画出身で作家でもあると思うのだが、あまり作家っぽさがないというかアート業界で華やかな実績を残してきたディレクターという感じで、胡散臭さというか上滑りした感じが出てしまっている。アーティストをやたらとビジネスマンと別の思考をする生き物として分けて論じたがるのも違和感を感じたし、デジタルっぽいアートについても語りたがるというか落合陽一みがあるし、多分彼の作品が好きな人とかに刺さりそうな感じもする。

まぁ、あまりナルシスティックな独自の芸術論とか独りよがりでポエミーな主張とかは読みたくないし、ゴリゴリに固いアカデミックな美学に踏み込んだ内容を期待していたわけでは無いので、きちんとビジネスマンと仕事してきた著者としてのニュートラルな解説は展覧会のキャプションを読み続けてるみたいでとても学びになる。彼が本書で扱わない、金にも社会的にも望まれてないアウトサイダーアートのような表現も社会には溢れてると思うが、本書はカギカッコつきの西洋的な「アート村」の成功者の視点で読み解くアート思考として読むのが良いと思う。

内容的にはある程度知りたいことを知ることが出来たので自分としては満足な良書でもあり、変な読後感だった。