「文化系のためのヒップホップ入門2」を読む。
シリーズ一作目が面白くて、しばらく放置してたけど最近3作目が出たので、とりあえず2作目を読んでみた。相変わらず楽しい。こうやって移り変わりつつあるヒップホップの文化をある意味外野で楽しむため、音楽自体に限らずゴシップから政治経済まで色んな話が繰り広げられる。年代的には2012年くらいから2014年くらいまで。
timit.hatenablog.com挙げられた話の中での気づきなど。
・ヒップホップが生まれたのはNYだが、サウスのヒップホップが完全に熱い。チトリン・サーキットというブルースやR&Bのミュージシャンのツアールートはほとんど南部の各都市に集中していたらしい。
・サウスの流れを作ったのが、チキチキビートでお馴染のティンバランド。まぁ、個人的にも当初は嫌いだったな…。今は好きだけど。
・「フッド」の要素が薄れ、ネットが発達したことで面白い発信をしているラッパーはスカウトされるようになっていく。
・日本の音楽は国内消費だけでもやっていけるくらいの規模があるからガラパゴス化出来るが、北欧のEDMプロデューサーたちは自国のシーンでは食っていけないので世界標準の音楽で成功する傾向があった。
・レコード・バイヤーによる歴史の書き換えが起きた。文学の世界での本屋大賞のように、評論家だけでなくレコード屋の評価が重要になった。
・イギリスで評価されるジャズはダサさイナタさなどが殺菌されてキレイに聴こえる。渋谷経由の音楽とも通じる。
・2013年はロビン・シックやジャスティン・ティンバーレイクやブルーノ・マーズのような非黒人シンガーのソウルが受けた。曲もループ感が強い。
・カニエの「bound 2」という曲のPVが最高に面白い。セス・ローゲンとジェームス・ブランコでパロディーにされた。
・ビッグ・ショーン、ジェイ・エレクトロニカ、ケンドリックの曲「control」がめちゃ物議をかもした。同世代のラッパー達に対してケンドリックが攻撃的なラップをしかけ、アンサー合戦となってメディアはそのアンサー含めて評価するなど業界全体が盛り上がった。
・グラスパーのヒップホップ認識はちょっと古い。ニューヨーク的なスノッブさがどうしても抜けず、フックアップするのもヤシーン・ベイやタリブ・クウェリなどコンシャスなラッパーが多い。
・フレディー・ギブスを「高倉健的な憂いを獲得したギャングスタ・ラップ」と評したのは凄く腑に落ちた。こういうイナタい雰囲気、大好きなんだよなー。
・チルウェイブと呼ばれる冷たいR&Bが2014年に台頭してきた。