midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「はじまりへの旅」を観る。

主演のヴィゴ・モーテンセンが何か味があって好きなのと、現代のアメリカに生きながら全く都会生活と関わりのない家族が、母の死をきっかけに都会生活にファーストコンタクトする物語、という題材が面白そうで観てみた。うん、普通かな。森の中の映像とか子供たちの表情とか凄く美しい映像に彩られてるけど、物語としてはちょっと腑に落ちない感じも残った。

子役の子たち、皆うまいんだけど、こんなにたくさんいるかな?という感じあり。長男や次男は、家族内で教祖的な絶対的権力を持つ父親に反抗して大人になっていくという重要な役回りがあるんだけど、若干エピソードが薄い子もいるし、ちょっと可哀想。特に妙齢の長女、次女は女性的な成長が全く描かれなかったのが残念。長男はちゃっかり旅の途中で恋愛とか楽しんでるのに。チビちゃん二人はすごく可愛いし、わちゃわちゃしてて絵的に楽しいのはあるけど。

子供が魅力的な映画というと、最近観た「フロリダ・プロジェクト」とか「誰も知らない」が思い出されて、そのどれもが子供ながらの視点を非常に大切にして、子供の生活がどんなに(時に残酷なくらいに)ドキドキの毎日か、っていうのが伝わるんだけど、本作はどちらかというと父親であるヴィゴの転向物語という色彩が強い。現代消費社会に嫌気がさし、社会との折り合いを欠いて生きたけど、大切な妻を守ることも出来ず、子供は傷だらけという現実に気づくという。物語終盤で父が子供たちに謝罪するシーン、善意でやってるんだけど「やりすぎた」という悔恨の言葉が重い。結果的に家族は少し社会性を取り戻して子供たちも学校に通い始めるんだけど、なかなか前途多難な感じはある。ハッピーともアンハッピーとも言い難い妙な含みを持ったラストシーンは印象的だった。