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webエンジニアのメモ

鈴木健氏の「究極の会議」を読む。

究極の会議

究極の会議

なめらかな社会とその敵」が革命的に面白かったので、こんなハウトゥー本とか書く人なのかーと思って読んでみた一冊。短いけど、シンプルでかなりためになる一冊。著者のプログラマーとして会社に勤めていた時代の様々な会議を通して合意形成のプロセスや組織の中で円滑に物事を進めるノウハウが語られるんだが、やっぱりこの人はすごく頭いいんだなぁと感じた。要は、会議とは「議事録をつくること」だという主張なんだが、議事録をまとめるソフトを実際に作ってしまうのがまたすごい。

そして、自分でも自戒をこめて、本書に挙げられた悪い会議にならないように気をつけたいものだ。あらかじめ目的を定めて、トピックを細かく設定して、必要な事項のみ話し合う。決まったことをきちんとトレースできる形でto doにまとめる。やはり意識していないと漫然とした会議になってしまいがちなので、反省。

そして何よりおもしろいのは、著者自身が会議自体にさしたる知的興味があるわけではなく、本書の締めに「ぶっちゃけ会議の生産性なんてどうでもいい話だ。(略)会議の生産性を目的にして生きても、なんだかちっとも楽しくないだろう。会議の生産性を上げても、会議の数が増えて会議時間は変わらないのでは、何のための効率化なのかわからない。(略)生産性の向上へのあくなき追求は、資本主義社会の病理のようなもので、しらふで「生産性が向上します」と嬉々として説明している人は、いわば病人である」なんて言っちゃってるところだ。本書にも「なめ敵」に繋がる思考の片鱗が見え隠れしていて、今後もこの人の思考に目が離せないなあと思っている。