midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「ベルカ、吠えないのか」を読む。

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?

久しぶりの古川日出男作品。「ボディ・アンド・ソウル」の文体に惹かれて数年、「二〇〇二年のスロウ・ボート」や「LOVE」はそこまで響かなかったけど、本作はなかなか楽しめた。相変わらず熱い語り口調で、短い言葉を重ねてグルーヴを生むような一人称によって、祖を同じくするイヌたちの壮大な物語を20世紀の冷戦下の体制を交えて描く。

個人的にはルチャ・リブレに精を出すマフィア「怪犬仮面」とイヌたちのエピソードが好きだったな。世界中に散らばり、関係してきた人間もまるで違うイヌたちが交錯していく様子を読んでると、そのへんにいる野良犬たちも壮大な物語を持ってんのかなーとか思う。まさしく人間に理解できない「イヌ語」によるイヌたちだけの物語になるのだろうけど。