midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

おそらくここ10年くらいずっと読んでみたかった「LAMPO」を読む。

ランポ 1―The hypersonic boy (てんとう虫コミックススペシャル)

ランポ 1―The hypersonic boy (てんとう虫コミックススペシャル)

たぶん小学生のころにコロコロで読んで、衝撃を受けたマンガ。なんてカッコいい絵と胸躍る世界観なんだろうと思って長い間読んでみたかったんだけど、単行本は勿論絶版だし、マンガ喫茶にも置いてない幻のマンガだった。本作と同様に、少年誌に乗ってたのに異様に大人向けでカッコよかった「王ドロボウJING」は後に古本屋でも見かけるようになったけど、本作はハードウェアとしては全く見たことがない。それがたまたまマンガ図書館Zで見かけて今回読んでみた。マンガ図書館Z、たまにこういう最高な仕事してくれるから侮れない。

コロコロは毎号買えたわけではないので、1話しか知らなかったのだが、通して読んでみると、今だとアレ?という感じがしなくもない。絵の完成度、著者の画力の高さには今読んでも感服するし、その丁寧な絵で描かれるアクションシーンの迫力は垂涎ものなのだけど、物語というレベルで見てみると失敗している感が強い。近未来というかアナザーワールドの日本が舞台になったSFアクションもの、という括りになるかもしれないが、たった4巻で完結してしまうためSFの部分はかなり書き込みが甘く、もったいないと感じてしまう。壮大な設定を生かすなら「鋼の錬金術師」くらいの長さが欲しいし、一神教的なモチーフが登場することもあって恐らく同時代的には「エヴァ」に匹敵しうるような膨らみを持たせてるんだけど、少年誌だからなのか作者の力量なのか、結局は単純なバトルに集約してしまっていて、作品自体が持つポテンシャルとの差に違和感を感じてしまう。例えば本作では軍事用の自立行動可能なロボがたくさんでてくるのだけど(そのどれもが非常に秀逸なデザインで、それだけでも一見の価値あり)、彼らがどのような動力で稼働するのかとか、なぜロボが社会に根付いているのかの説明が弱いので、さも当たり前に主人公たちと敵対・協力するロボットたちは単純に作者のロボ好きの趣味で「登場させたいから登場させた」だけであって、それは全て人間役に置き換えても良かったんじゃないか、とか思ってしまう(一応単行本にはおまけ程度に簡単な解説があったりするが)。それに、アクションシーンを生かすためとはいえ、殴ったり蹴ったり剣で切ったりと徒手空拳しか使わないロボも大人になって読むとちょっと間抜けに見えなくもないし、創造主に反旗を翻すロボとかもいて、ロボと人間の関係性が測れず、ロボのAIはどうプログラムされてんだ、と思ってしまう。

とはいえ、アクションマンガとしては高い画力と大胆な構図をまとめる演出力はすごいし、単純なボーイミーツガールものとしても楽しめるっちゃ楽しめる(今回読み直してみると、「天空の城ラピュタ」にすごく骨格が似てる気がする)ので、埋もれてしまわないようにぜひともたくさんの人に読んでみてほしい。