midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド」を読む。

音楽のジャンルを説明するときに「アンビエント」とか「チルアウト」とか「エレクトロニカ」とか「バレアリック」など色んな括り方で表現できる類の音楽でも「ニューエイジ」と言うと途端に胡散臭くなりがちになる。スピリチュアルなニューエイジの思想的な源流とそれを体現するような音楽から始まり、世界に広がっていく中ですごく単純化、商業化した「癒し」や「ヒーリングミュージック」的に消費されるような音楽も含めて、自己紹介で好きな音楽の説明をする時になるべく使いたくない単語だ。

本作の著者はその辺りの経緯や説明を丁寧にしていて、さらにアーティスト側のインタビューを通して立体的にニューエイジ・ミュージックの全体像が把握できるのが面白かった。やっぱりアーティストも自覚的にニューエイジ的な思想やライフスタイルから入った人もいれば、作る音楽をニューエイジと括られることに抵抗する人もいて面白い。時を経て聴かれ方や括り方が変わる音楽もあったりして、DJ的な視点でも楽しめる。

紹介される音楽はほとんど名前も知らないアーティストによるものなのだが、レビューを読みつつネットで聴ける音楽に耳を傾ける限りはどれも面白くて発見が多かった。アーティストによっては、グループでの活動や普段の活動と全く違うパーソナルな一枚のアルバムのみ音楽性が全く違って濃厚なニューエイジ感が出ていたり。本書を読んで自分の脳内に付箋をつけた状態なので、個々のアーティストはこれからゆっくりと深ぼって聴いていこうと思う。