midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「まんが・サイコセラピー」を読む。

すごい地味なタイトルと表紙だが、割と面白かった。ロンドンを舞台に、約1年にわたるサイコセラピーの現場を例にして、セラピーする側と受ける側がどんなことを考えてるか、どのような関係性の変化があるかをマンガ形式で淡々と紹介していく内容。

別に近い将来セラピーを受けたいとか思っている訳ではないが、割と胡散臭いイメージがあってセラピーの発する言葉に対しても「どんなことを聞き出そうとしてるんだ?自分にどんな変化をさせようと企んでるんだ?」みたいに考えてしまいそうになるが、結構セラピストも言葉を選びつつもミスったり、導きたい方向に焦って話を切り返したりして受け手を不快にさせたりする描写があったりして、1対1で会話してたら確かにこんなこと起きそうだなぁというリアル感があって面白かった。

それでも、セラピストは放たれた言葉や表情をきちんと分析し、適切な方向に導こうとしている様子は描かれており、セラピー終了後に、距離を縮めて大切な話し相手となったと感じたセラピーの受け手から、自分の結婚式に出席してくれないか?と言われても丁重に断ったりと一線の引き方も上手いなぁと思った。友人でもないし教師でもないし、単純な医者と患者でもない。かと言って、週1ペースで会って人生の深い深い記憶や経験の話を共有するという親兄弟でもなかなか無い密度で接することになるという、説明しづらいすごく不思議な関係。