「父と子」を読む。
マンガで読んだので文章の文体を味わうということは出来ないが、映画やマンガでしかなしえない、視覚的な情報を得た上で読んですごく楽しかった。
マンガとしては200ページにも満たないが、19世紀のロシアの状況、政治勢力に対してロマン主義、ロシア正教、共産主義、アナーキストなどに対して偏りなく、スケッチするような感じで色んな立場の人物による対話が出てきて面白かった。物語的なカタルシスを犠牲にした(のかはツルゲーネフの意向は不明だが)まま、物語中の特定の人物が大成したり大失敗したりすることもなく、移り変わりを読んでいる感じで、否応なく同時代的な日本の明治維新やレーニン、スターリンの施策が浮かんだ。現代的な価値判断で言っても手放しで評価はできないが、第一歩として評価せざるを得ない感じとか色んなジレンマを抱えるキャラの独白が現代にも通じていて共感できた。