midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「ローラ・ディーンにふりまわされてる」を読む。

面白かった。けど、これも「ハートステッパー」と同じくティーン向けかなぁという感じ。

どちらもざっくり紹介すればLGBTQ的な恋愛コミックであり、思春期のティーンの学校や家族とのやりとりを中心とした日常生活と心情を細やかに描いていて、傑作なのは間違いない。ただ、キャラの喜怒哀楽に共感するためにはティーンまで感覚を「降りて」味わう必要があって、30代になったとなっては結構難しいという感じ。

画力、演出、構成など良作とも非常に巧み。日本の少女漫画的でありがちな主人公の過剰で説明的なモノローグも多くないので、映画的に物語を楽しめる。本作に出てくるキャラたちは人種も宗教もバラバラなアメリカ西海岸の住民で、LGBTQといった性的指向が一部の関係性を除いてマイナスに働いていないのが面白い。ローラ・ディーンはちょっと高飛車で振り回してる感じはするが、決して人を虐めたり陥れるようなビッチではなく、モテる人であればありそうな仕草である。主人公の女子はやや地味めで恋愛に対して悩んではいるが、政治的にも経済的にも恵まれた幸せな環境で悩んでるなぁと感じてしまう。全然荒んでないので、読む時の視点が主人公たちより彼らの親視点になっているのかもしれないが…。

本作では作画をローズマリーヴァレオ・オコーネル氏が担当しており、BD、アメコミ的、日本のMANGA的な省略技法を存分に吸収している感じがして非常に読みやすかった。見開きのコマに描かれた背景のひとつひとつ、キャラの口角の角度など小さな情報から繊細で抒情的な雰囲気で、なんとなく「ブレックファストクラブ」の映画を観た時のような余韻に浸れた。