midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「ローラ・ディーンにふりまわされてる」を読む。

面白かった。けど、これも「ハートステッパー」と同じくティーン向けかなぁという感じ。

どちらもざっくり紹介すればLGBTQ的な恋愛コミックであり、思春期のティーンの学校や家族とのやりとりを中心とした日常生活と心情を細やかに描いていて、傑作なのは間違いない。ただ、キャラの喜怒哀楽に共感するためにはティーンまで「降りて」味わう必要があって、今となっては結構難しいという感じ。

画力、演出、構成など良作とも非常に巧み。日本の少女漫画的な主人公の過剰で説明的なモノローグも多くないので、映画的に物語を楽しめる。本作に出てくるキャラたちは人種も宗教もバラバラなアメリカ西海岸の住民で、個人につけられたLGBTQ的なラベルが一部の関係性を除いてマイナスに働いていないのがポイント。ローラ・ディーンはちょっと高飛車な感じはするが人を陥れるようなビッチではなく、モテる人であればありそうな仕草である。主人公の女子はやや地味めで恋愛に対して悩んではいるが、政治的にも経済的にも恵まれた幸せな家族に囲まれた環境で悩んでいるにすぎない。要するに読む時の視点が主人公たちより彼らの親視点になっているのかもしれないが…。

本作では作画をローズマリーヴァレオ・オコーネル氏が担当しており、BD、アメコミ的、日本のMANGA的な省略技法を存分に吸収している感じがして非常に読みやすかった。見開きのコマに描かれた背景のひとつひとつ、キャラの口角の角度など小さな情報から繊細で抒情的な雰囲気が伝わってキュンキュンする。ただ、大学生の頃の自分ならもっと夢中になれた気がするが、今はもっとロジックで背負い投げされるような感覚の方が面白い…。