midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ブレードランナー 2049」を観る。

大分間隔が空いたけど、池袋新文芸坐で観たもの。前作は見ていたものの、詳細はあんまり覚えていなくて同時上映していた「ゲットアウト」の方が期待値高くて、本作にそれほど期待したなかったんだけどやっぱり面白かった。前作はもう話題になりすぎて特に言及することもない位サイバーパンク映画の古典となりつつある歴史的な作品で、本作はその30年後を描いたもの。

前作から引き続き、「人間って何?それ以外の知能と何が違うの?」という根源的な問いはベースに持ちつつも、それを映画的に主人公の自分探しとなぞらえて語らせたのは面白かった。まぁ、これも前作のデッカードと同様と言っちゃそれまでだけど、今とときめくライゴズがその人間とAI感を双方に感じさせる、何となくニュートラルな演技で立ち向かっていたのは面白かったと思う。たまに人間臭い(非常に不合理的な行動を取る)し、たまに恐ろしく冷静だし、という。主人公は結局物語を駆動する重要なキャラではないことが判明するけど(これが判明するシーン、主人公を無自覚に追い詰めていてちょっと可愛そうなポイント)、それも逆にリアルで面白かった。

爺さんになってるけど、かつてのデッカードも出てくるしファンムービーとしての機能や、アクション・SF映画としての偏差値も高くて、前作を知らない人でもそれなりに楽しめるのは非常に良いと思う。AIを使ったバーチャルセックス(ちょっと、「her/世界でひとつの彼女」を思い出した)とか、レプリカント同士の格闘シーンだったり、前作ファンには涙者の「ガラパゴス的に異様に発達した雑駁なアジア」的意匠で覆われた街角など、どの場面も印象深いものだった。3時間近い大作だし、SF的な素養が多少必要だけど、なかなか記念碑的な作品だと思う。「猿の惑星」に対する「猿の惑星: 創世記」的な種明し作品として機能するというか。