midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「マンガ エニグマに挑んだ天才数学者チューリング」を読む。

割と珍しい、イタリアのマンガ。「ロジ・コミックス」の勢いで読んでみたけど、流石にロジ・コミックスの面白さには及ばず。でも、チューリングの劇的な一生を抜粋してマンガとして絵になるエピソードを抽出しており、小中学生くらい向けの伝記マンガとしては楽しめる内容になっていると思う。

途中でチャールズ・M・シュルツ「ピーナッツ」をパロディしていたりと絵柄が可愛らしくて読みやすいのは確かなのだが、その分暗号解読などチューリングの分かりやすい業績ですらストーリー・絵として掘り下げが浅いので、ちゃんとした研究者や数学者ほど肩透かし感があるかもしれない。彼自身が執着していた「白雪姫のりんご」みたいな絵になるエピソードに焦点が当たっているので映画「イミテーション・ゲーム」を観た人の補完教材にはなる気がする。

一応、本書にもヒルベルトラッセルやゲーデルノイマンが出てきて、彼らとの議論や論理学・数学上の見解についてはざっくりと復習できるので、「ロジ・コミックス」を先に読んでいて面白さが2割増しになった気がする。ただ、本書だと一人称のセリフの中だけで議論が展開するので初学者には少し難しい気もする。