midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「グラフィック・メディスン・マニフェスト」を読む。

適当に海外のマンガ漁ってたら面白そうと思って手に取ってみたが、内容はかなりしっかりした固いマニフェストで驚いた。タイトル通り、マンガというメディアを使うことで医療が変わるから積極的に使っていこうという医療関係者やコミックアーティストたちによるマニフェスト集となっている。

かなり詳細なマンガの構造や文学と比較したメディアとしての特徴を分析した学術論文のようなものがあれば、個人の医療体験をマンガという形式で表現することの効果を紹介する自伝のようなもの、医学生に講義としてマンガを使って医療体験を表現してもらった事例など色々で面白い。もちろん医療漫画の名作の参照も多いので普通に読書リストが増えていった。アメリカのマンガがメインだが、さりげなく手塚治虫の「きりひと讃歌」も入っている。

個人的には大学生の頃に読んだナラティブセラピーを思い出した。乱暴に言えば患者という体験を物語るということが治療の一環になるというものだったと思うが、本書でもそれに近い論旨のことが実際の作品を解説する形で述べられている。詳細に自分の症例を高い解像度で語るもの、逆に動物のキャラに擬人化させるようにして距離を置いた上で語るもの、心の揺れ動きを表情や漫符を使って表現するものなど語り口は様々なで個性が出る。

また、やっかいで手に負えない患者との交流を描いたもの、家族を介護する経験、日常的に死と接する職業特有の心持ちなど医療者や患者の周囲の体験を描くマンガの紹介も面白かった。最近だと「Dr.Eggs ドクターエッグス」という医学生の体験を描く漫画は知らなかった一面が多くて楽しんでいるのだが、こういう体験も大事だと思ったりもする。