「年上のひと」を読む。
塩素の味がめちゃくちゃ良かった著者の日本語訳されてる作品を読んだ。めちゃくちゃ良い。
もはや自分の年齢を考えると本書で描かれる「年上のひと」である女性はコドモですらあるのだが、本書で描かれるような日常の衝動的で雑多なリズムのような感情はあったような気がするなと思う。「塩素の味」と同じく説明的だったり社会的な視座みたいなものは皆無で、ひたすらローティーン思春期の男子のちょっと年上の女性に対するドキドキがダイレクトに伝わる作品になっている。物語よりも演出に焦点があっていて、カメラの配置やコマ割りで、直接的な行為でなくとも生々しいエロスが描かれていると思う。そういう意味では「塩素の味」が好きな人は間違いなく好きになる作品だと思う。
本書を読んでも社会的な教訓とか学びは全く無い。ただ、「好きになった人」に対するリアルな感情や感覚が思い浮かび、恥ずかしくなるくらいの没入感がある。