midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「マンガの描き方」を読む。

スコット・マクラウド氏の著作2冊目を読んでみる。

timit.hatenablog.com

前作はかなり「マンガとは何か」とか「何を表現しうるか」みたいな抽象的な解説に比重が置かれていたのに対して、本作ではもっと具体的にストーリーを語るためにマンガ的な文法を使ってどのように表現できるかを論じていて面白い。日本マンガや手塚治虫の仕事にも触れつつ、コマを使って絵と言葉で物語を紡ぐことに対して色んな作例や練習問題をもとに解説しているのが面白い。

本書は映画志望の人もすごくためになると思う。エスタブリッシュ・ショットみたいな言葉が出てくるだけでなく、カメラ位置だったりショットの切り替わりだったり、映すショットと省略するショットの選択だったりとかなり映画の授業を受けている感じ。コマの割り方、キャラクターの表情やボディランゲージなどのマンガ家に求められる技術を通して、読者を夢中にさせるためのストーリーテリングの技法についても解説している。

作劇のため、あえて読者の視線や関心を逸らしたりするミスリードの仕方もマンガで解説していたのが面白かった。マンガ表現として手品をするのだが、吹き出しを使ったセリフと視線を誘導するコマ割りで、読者も騙されるんじゃないだろうか。語ることの奥深さを感じられた。