midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた」を読む。

友人が読んでいて何となく読んでみたいリストにあった本。最近は漫画ばっかり読んでてあまり読書してなかったが、めちゃくちゃ面白くて一気読みしてしまった。元奴隷の両親の元で1872年にミシシッピで生まれたフレデリック・トーマス・ブルースという男がヨーロッパ、ロシア、トルコを大成功と失敗を繰り返しながら渡り歩いてきた状況を伝記として著した一冊。

著者は元々比較文学の研究者らしく、史料の扱いが学者として洗練されているようで、激動の20世紀初頭の近代史として読んでも楽しい。だが、それよりも最高にかっこいい男の一代記として夢中になって読んでしまう。フレデリックがめちゃくちゃいい人柄なので、読んでいて頑張れと応援したくなる。後書きとして、普通の人の10人分くらいの冒険をしているというような件があるのだが、本当にそのくらい多動でこち亀両さんみたいな感じなのだ。政治家とか革命家みたいな偉人の伝記ではなく、あくまで民間人であり、山っ気も猥雑さも愛嬌もたっぷりあってこういう人って本当にかっこいいよなと思う。