「地下芸人」を読む。
おぎぬまXという名前は山本さほさんのマンガで知っていたのだが、地下芸人という最近気になるワードの小説を出していたことを知って興味を持ち、読んでみた。
bunshun.jp似たような作品としてやはり売れない漫才師の青春を描いた「火花」があると思うが、この作品も独自の悲哀や成長が描かれており面白かった。ただ、最後の要となるネタがあまり面白く思えなかったのが残念。その代わり、ちゃんと作中で披露されるネタは空気感や間は表現できなくても文章としてテンポよく読ませて楽しむことは出来たので漫才小説としては良いと思った。
漫才の世界あるあるな描写として、同業受けの良くない売れ線芸人のネタと面白いことばかり追求する芸人の対立だったり、コンビ解散は事前報告にすべきか事後報告にするべきかみたいな話は興味深かった。他には、コント職人の引退の時に小道具を捨てるために壊すという件が出てくるのだが、ネタの世界でしか使われないそれらの小道具の存在が切なかった。