midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「聖者たちの食卓」と「真珠のボタン」を観る。

聖者たちの食卓

聖者たちの食卓

 
真珠のボタン(字幕版)

真珠のボタン(字幕版)

 

 どちらもUplinkが配給しているそうで、非常に美しい映像が楽しめる。「聖者たちの食卓」はめちゃくちゃシンプルで、「インドの寺院で500年以上続く無料食堂の舞台裏に迫るドキュメンタリー。巡礼者らに毎日10万食分の豆カレーを提供するハリマンディル・サーヒブ(黄金寺院)。宗教も人種も関係なく誰もが平等にお腹を満たすことができる「聖なるキッチン」を映し出す。」という紹介文通り。ナレーションもなく、色んな持ち場で働く人達と彼らの食事風景を淡々と観て楽しめる。料理も美味そうだし、トリップムービーとしての要素もばっちり。観てて思ったのは、かなり分業化されてるんだなーということ。10万食という途方もない量だから当たり前っちゃ当たり前なのだが、材料を運搬する人、玉ねぎを延々と切る人、チャパティを焼く人、バカでかい鍋で材料を煮込む人、食器を渡す人、食事を配膳する人、食べ終わった食器を洗う人などそれぞれの持ち場での働く場面が工場の製造工程を観ているみたいで面白かった。食器洗い機みたいな機械の導入もなくて、老若男女問わず色んな人達が普通に仕事していて、合間に祈りの時間があったりして、その日常感が非常に尊く見える。舞台はシーク教徒の寺院でめちゃくちゃ荘厳で美しいし絵になる。ちなみに、300人が働いているということだが皆ボランティアで、材料や燃料などの全ての経費は寄付で成り立っているらしい。旅行者っぽい人は映ってなかったのだが、ひょっこり行ってご飯食べてみたいなーと思った。

「真珠のボタン」は政治的なドキュメンタリー。チリを舞台に、ピノチェト政権下で流れた血や迫害された先住民たちの歴史を描き出す。ちなみにパタゴニアという固有名詞はチリの地方のことだと初めて知った。とにかく圧倒的に美しい映像で、特に水の表現が凄まじくてタルコフスキーも真っ青という感じ。言葉少なに語る関係者の顔に刻まれた皺とか生々しい拷問の描写とか重いのだが、全く飽きずに緊張感を持って観ることができた。