midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「ブルー・リベンジ」を観る。

ブルー・リベンジ(字幕版)

ブルー・リベンジ(字幕版)

 

 何か、カンヌで賞を取ったとか、「コーエン兄弟に匹敵する復讐劇!」みたいな評価とか町山智弘絶賛!とか聞いてワクワクしながら観たけど、そこまででもなかったかな。現代はブルー・ルインというんだけど、例によって内容が分かり辛いから邦題がブルー・リベンジというダサいアクション映画みたいに改題されてる。舞台は2000年位のアメリカ(手にしている携帯から察するにだけど)のド田舎を舞台に、非常にシンプルでミニマルで、道徳的な物語でもなければ、派手なカーチェイスやガンアクションもなく、理性から外れた人間たちがひたすら意味もなく殺し合うというなんのためにもならないお話。楽しかったけどね。

あまり説明的な描写がないのが良い。主人公のナレーションによる補完だったり、恨みを持つに至った過去のシーンだったり、失意の内に暮らした主人公の転落人生みたいな、「これまで」がほとんど描かれない。観客は何となく、こういう過去があったのだろうなという想像を巡らせるしかない。そういう意味では確かにコーエンの「ノーカントリー」に通じる閉鎖的な空間という感じは通じるし、ドラマチックさを排した非常にあっけらかんとした乾いた暴力描写も良い。町山智弘が俺が大好きな「ウィンターズ・ボーン」を引きあいに出してたけど、ああいう土着の不合理的な人間による密室での暴力映画という感じもある。でも、「ノーカントリー」や「ウィンターズ・ボーン」が持つ、手に汗握るような緊張感がなかったんだよなぁ。あまりに主人公が考えなしで間抜けで、そんな行き当たりばったりじゃ証拠だだもれでダメやんけ!と心で突っ込まざるを得ないというか…。10年に渡って恨みを募らせてたんだったら、もっととびっきりの恐怖や苦痛で完膚なきまでに相手を圧倒してほしいよな、と思ってしまった。