「第三の男」を観る。
え?これが映画史に残る傑作?という位拍子抜け。色んな名作映画ランキングに大体というくらい連ねてる本作だが、期待度高いだけにかなり残念。終戦間際のウィーンを舞台に、アメリカから友人に紹介された仕事を求めてやってきた作家が友人の事故死を不審に思い、現地の警察や死んだ友人と付き合いのあった友人や恋人からの聴き込み調査を基に独自に事件を調べる、というもの。
物語の導入から中盤くらいまでは楽しい。一癖も二癖もありそうな胡散臭い連中から情報を得て、実は事件に首謀者がいるのでは?という疑惑がどんどん大きくなりワクワクする。画面構成だったり演出も巧みで、演者の思わせぶりな視線や言動だったり、どこかにヒントがあるんじゃないかとのめり込んでみることが出来る。なのに、盛り上がるべき「第三の男」を突き止めて追い求めるのが主人公じゃない、というのがめっちゃ残念。なんだそりゃ?と思った。それに、謎解きらしいロジックの組み立てもなくてなし崩し的に第三の男に遭遇する、みたいな展開もどうかと思う。これによってサスペンス・ミステリー的な面白さが大分削がれた。ラストシーンとかはうまく出来てると思うけど、これが「映画の完成形」みたいな意見は聞き入れがたいなと。