midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「コンタクト」を観る。

重厚なSF映画を観たいなーと思って観てみた。思ったより残念な出来。いわゆる異星人とのファーストコンタクトもので、カール・セーガンという科学者で小説家でもあった人物の小説の映画版。ということは科学的な考証はされてるんだと思うんだけど、思ったほどハードSFっぽさはなく、親子愛とか「異星人とのコンタクトを図る人間代表選抜戦」とかみたいな人間関係に比重が寄せられており、ドラマ的。ジョディ・フォスターも言動があんま科学者って感じしないしなぁ。特に、「異星人は自分たちよりも遥かに進んだ科学力を持っている」的な確信を話す場面があるんだけど、科学者なら「何を持って進んでいるとみなすのか」みたいな定義の疑問にぶち当たると思うのでこういう雑な言葉は使わない気がする。全体としては、マシュー・マコノヒーが出てる点もあって家族ドラマとしても秀逸な「インターステラー」っぽい感じ。インターステラーの方が後だけど。

映像的には当時のCGの最先端という感じで、冒頭の3分くらいで地球から太陽系、銀河系を引きのショットで映し出すシーンはそれこそ「2001年宇宙の旅」ばりに美しいし、肝心の異性人(ヴェガ人)との接触に至るまでのワームホールを抜ける場面とかは視覚的面白さに溢れてるけど、肝心の接触が完全に人間本位というか、観客に理解しやすいように地球の浜辺の空間に主人公の亡くなった父親を登場させて語らせるという、安易で陳腐な視覚化になってしまって幻滅した。ヴェガ人、地球人に合わせすぎだし優しすぎだろ、と突っ込んでしまう。イーガンの「ワンの絨毯」みたいに、決して人間なんかと親密なコミュニケーションが出来ない他者とのコンタクトとかの方がリアリティある気がするんだけどな。

後は地味に、ヴェガ人が3次元の言語を使って人間にコンタクトを取ってきたという設定が面白かった。ちょうど小説「ジェノサイド」でも新人類が既存のどんな言語体系にも属さない言葉を使ってたんだけど、まさしく3次元言語だったので。